頚原性頭痛 Cervicogenic Headache

本稿はPHYSIO⁻ONE独自に厳選した論文・エビデンス、さらに著者の臨床経験・卒後教育プログラムに基づき、疾患の基礎情報、理学療法評価と介入方法についてまとめたものである

基礎情報

 

病態

  • 頚椎の機能不全が原因と考えられる頭痛
    ✔国際頭痛分類(ICHD-Ⅲ)では二次性頭痛に分類される ¹⁾

  • 病態生理
    ✔上位頚椎C1-C3の機能不全によって、頚椎神経根、三叉神経、後頭神経が刺激されることにより頭痛が生じると考えられている⁶⁾⁹⁾
    ✔上位頚椎の神経は、三叉神経の感覚線維と上位で収束する ⁵⁾
    ✔頚椎の可動域のうち、C1は屈伸の30%、C2は回旋の60%を占めるという特徴がある

臨床でみられる代表的な症状
・頚部の動きや姿勢によって悪化する片側性の頭痛
・頚部の痛みが先に頭痛の前に起こる
・頚部、特にO/C1, C1/C2, C2/C3 分節の可動域制限
・同側後方の頚部筋膜または関節誘発によって引き起こされる頭痛
頚部屈曲回旋テストで陽性 
頚部深部屈筋群の持久力テストの筋力と協調性低下

※上記に当てはまらない場合は他の種類の頭痛である可能性がある

有病率

問診時の鑑別診断に役立つ
✔文献で報告されている有病率は以下である

  • 一般人口における頭痛の有病率は66%²⁾
    慢性的で繰り返す頭痛のうち、15−20%は、頚原性頭痛である²⁾
  • 国際頭痛学会の診断基準を使用した場合、頚原性頭痛の有病率2.5% ¹⁰⁾
  • 男女比は同じ程度⁶⁾
  • 30歳代前半で生じるが、医療機関へ受診する年齢は49歳前後が多い⁶⁾

リスク要因

  • 現時点での詳しいリスク要因は不明である

予後の予測

  • 予後は重症度や状況によって異なるが、頚原性頭痛は理学療法の介入によって回復を期待できる
    ✔ある研究では、理学療法を受けた12ヵ月後の時点で72%の患者さんが頭痛の頻度が半分以下まで減ったとし、長期間での効果も期待できる ²⁾

 

評価

基礎情報をもとに鑑別診断や評価・介入プラン作成に必要な情報を聴取する

問診

  • 現在の症状
    ・片側性の頭痛である
    ・頚部や後頭下の症状と関係している
  • 発症のきっかけ
    ・はっきりとした原因はない
  • 悪化要因
    ・頚部の動きや姿勢によって悪化する
    ・頸部の痛みが先に頭痛の前に起こる
  • 緩解要因
    ・安静
    ・頚部へのストレッチやマッサージで緩和する場合もある

視診・動作分析

  • 立位・座位の姿勢:頭の位置、肩の位置、首の反り、骨盤の傾き
    ・肩甲骨の過下制
    ・肩甲骨の過下方回旋
  • 呼吸パターン

触診

  • 骨組織:頚椎 C1-3(副運動)
    ※圧痛の有無を確認する
  • 筋組織:頚部伸展筋、後頭下筋、側頭筋、肩甲挙筋、大胸筋、小胸筋、
    ※頭蓋周囲の筋に圧痛がみられることが特徴

主な評価項目

  • 可動性評価
    ・頚椎ROM:屈曲・伸展、回旋、側屈

鑑別診断

 

介入プラン

エビデンスに基づいた介入方法

エビデンスおよび著者の臨床経験をもとに、PHYSIO⁻ONE独自に作成した介入プラン例を紹介する

  • 頚原性頭痛の定義は完全な合意に至っていないことから、頚原性頭痛単独を対象にそれぞれの介入方法を比較した研究を見つけることは困難なため、基本的には評価の結果に基づいて介入プランを考える

頚原性頭痛への介入の基本的な流れは症状緩和・機能回復→セルフケアである
本疾患ページではこの流れにそって解説していく

症状緩和・機能回復

  • 徒手療法
    ・一時的な疼痛緩和のために行う。圧が強すぎると逆効果になってしまう場合があるため注意する
    ・どの筋にアプローチするかは評価によって決まる。例:巻肩である場合は大胸筋や小胸筋へとアプローチするなど
    ・疼痛管理:頚部伸展筋、肩甲挙筋、大胸筋、小胸筋、後頭下筋、側頭筋トリガーポイント
    ・頚椎可動域改善:片側頸椎PAモビライゼーション、上位頸部モビライゼーションなど
    ✔徒手療法、頸椎、胸椎マニピュレーション、運動療法は症状の緩和、頻度を和らげる効果が期待できるとされている ⁸⁾¹⁰⁾
  • 運動療法
    ・介入初期は簡単に出来るストレッチやモビリティエクササイズから始め、徐々に姿勢を保つ筋肉のトレーニングを加えていく
    ・頚椎可動域改善:斜角筋、胸鎖乳突筋ストレッチなど
    ・頚椎安定性向上:深層頚部屈筋訓練
  • ホットパック
    ・異常な筋スパズムを緩めて筋緊張を解くことに有効な可能性がある。一回10分を目安に数回行う
  • 患者教育
    ・こまめに姿勢を変えるか、軽いストレッチなどを行う(30分毎を推奨)
    ・デスクや椅子の高さ、パソコンやキーボードの位置など、仕事環境を見直す

セルフケア

  • 再発予防について詳しく調べた研究はなく、慢性化する場合も多いため、出来るだけ自分でコントロール出来るように運動習慣の習得や健康的な生活習慣を身に付ける事に努める

参考文献

  1. 【Statement】Headache Classification Committee of the International Headache Society (IHS) The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition. (2018). Cephalalgia38(1), 1–211. 
  2. 【Systematic Review】J Rubio-OchoaJ Benítez-MartínezE LluchS Santacruz-ZaragozáP Gómez-ContrerasC E Cook. Physical Examination Tests for Screening and Diagnosis of Cervicogenic Headache: A Systematic Review. Manual Therapy. 2016 Feb;21:35-40.
  3. 【Review】Andrew BlumenfeldSara Siavoshi. The Challenges of Cervicogenic Headache.2018 Jun 13;22(7):47. Current Pain and Headache Reports 
  4. 【Review】Martellitti P and van Suijlekom H. Cervicogenic Headache: Practical Approaches to Therapy. CNS Drugs. 2004: 18 (12): 793-805.
  5. 【Review】Sizer PS, Phelps V, Azevedo E, Haye A, and Vaught M. Diagnosis and Management of Cervicogenic Headache. Pain Practice. 2005: 5 (3): 255-272.
  6. 【Book】Al Khalili Y, Jain S, Murphy PB. 2019 Headache, Cervicogenic.  (last accessed 1.2.2020)
  7. 【Review】Drottning M, Staff PH, and Sjaastad O. Cervicogenic headache (CEH) after whiplash injury. Cephalgia. 2002 : 22 : 165-171.
  8. 【RCT】Gwendolen JullPatricia TrottHelen PotterGuy ZitoKen NiereDebra ShirleyJonathan EmbersonIan MarschnerCarolyn Richardson A Randomized Controlled Trial of Exercise and Manipulative Therapy for Cervicogenic Headache. Spine. 2002 Sep 1;27(17):1835-43; discussion 1843.
  9. 【Review】R Michael Gallagher Cervicogenic headache. Expert Review of Neurotherapeutics. 2007 Oct;7(10):1279-83.
  10. 【Systematic Review】Aleksander ChaibiMichael Bjørn Russell Manual therapies for cervicogenic headache: a systematic review. Journal of Headache and Pain. 2012 Jul;13(5):351-9.
  11. 【Guideline】日本神経学会/日本頭痛学会. 慢性頭痛の診療ガイドライン2013. 医学書院

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